
ハイドン・エディション:ハイドン作品集(150枚組)
シンフォニーはフィッシャー盤の全集。指揮者の意思が伝わって来る良い演奏だ。コンチェルトや室内楽はほとんどがピリオド楽器。軽やかで古典派の音楽には好ましい。フォルテピアノやバリトンなど良い響きだ。弦楽四重奏はモダンな演奏で弦の響きが美しい。(因みに全集ではない。) トランペットとホルン、チェロのコンチェルトはモダン楽器。指揮はマリナーとエド・デ・ワールト。宗教曲では独唱も合唱もまずまず心地良い。オペラも引き込まれるような素晴らしい演奏だ。歌曲では私の好きなエリー・アメリングの歌声も聴ける(かつてレコードアカデミー大賞を受賞したハイドン歌曲全集が全曲収められている)。民謡集は気持ちの入った好感の持てる歌唱。そのほか初めて聴く楽器もあって楽しい。etc.…このセットには予想もしてなかった嬉しいことが沢山あって大満足。ハイドンは私の一番好きな作曲家。これは全集ではないが(曲目的には)これだけあれば十分。全体として色々な楽器や演奏形態等も楽しめる。録音状態は全体的に良いと思う。中には鮮明さに欠けるものもあるが問題無い。変に鮮明(?)過ぎてスカスカしているより良い。これだけのセット(150枚!)なのに個々に充実していて、実際素晴らしい演奏が多く、本当に聴き応えのあるセットだ。単なる寄せ集めでは全く無い。 … P.S. 弦楽四重奏曲全集として欠けているのは、1:「プロシア四重奏曲」の後半3曲(Op.50 Nos.4~6) / 2:「第1トスト四重奏曲」の全3曲(Op.54 Nos.1~3) / 3:「エルデーディ四重奏曲」の後半3曲(Op.76 Nos.4~6) 以上CD3枚分。今ならブッフベルガー盤が分売されているが各2枚組になっている(但し値段はそれぞれ1枚もの程度)。他の団体のものならピンポイントで入手出来る。

モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》ウィーン国立歌劇場1999年 [DVD]
ムーティ指揮の『ドン・ジョヴァンニ』のDVDでは1987年のストレーレル演出のミラノ・スカラ座公演が有名です。
しかし、この1999年のアン・デア・ウィーン劇場におけるライヴも、いまが旬の歌手たちの熱唱をきくことができます。特にアントナッチのエルヴィラはヒステリックなところがなく、情感あふれる歌唱です。ムーティの指揮もエネルギッシュなものです。ロベルト・デ・シモーネの演出では衣装が次々と変わっていきます。しかも、第1幕ではエルヴィラは17世紀前半の騎士、ツェルリーナはアルカディア派の絵柄の衣装と、個々の人物に様式の異なる衣装が着せられていて、モザイク的・象徴的な楽しみ方が出来ます。逆に統一感は無くなっています。残念なのはビデオ収録の照明がアンダーで拡がりが感じられないところ。