
コーヒーハンター―幻のブルボン・ポワントゥ復活
川島氏が本物のコーヒーを追求し続ける迫力に圧倒される。高校を卒業したばかりの若干13歳の少年川島良彰が、エルサルバドルという日本から遠く離れた中南米の国に勉強に行くというだけでも驚くが、政情の不安定なエルサルバドルで本物を追い求めるその迫力に圧倒される。銃弾が頭の上30センチをかすめるような命がけの体験から語られる言葉には、うそがない。川島氏の人柄からもコーヒーの香りのように、真摯な思いが滲み出ている。
世界各地を回り、土づくりから栽培、収穫、焙煎、保存にいたるまで、本物のコーヒーを追い求める姿勢は、「哲学」の域に感じる。幻のブルボン・ポワントウを見つけ、復活させたいきさつは、コーヒーを愛し、コーヒーに携わる人たちに敬意を表し、本物の魅力を伝えたいという情熱そのものだ。
その哲学の表れが、サスティナブルコーヒーを推進する活動だ。品質の良い最高のコーヒーを栽培指導し、それをきちんとした価格で買いつけ、消費者に買ってもらう。それがコーヒーを生産する国と人々を守り、消費国をも守るという哲学だ。その地道な姿勢に敬意を表する。コーヒーへの愛と、それに関わる人への感謝がにじみ出ている。
この本を読んだ人は、川島氏のコーヒーの虜になる。川島氏の焙煎するミカフェートのコーヒーを飲まずにはいられない。コーヒーも川島氏自身も愛すべき神の賜物であることを知る。